コラム

軽貨物の記録の不備に罰金はない?車が使えなくなる処分と実例を整理

公開/Doreco 運営事務局

「罰金はない?」と書かれた、青地に白いカードの記事アイキャッチ

軽貨物の点呼や記録を怠ると、安全管理者の選任・届出と同じように、罰金になるのでしょうか。結論から言うと、点呼や記録の不備そのものに、罰金の定めはありません。対象になりうるのは、車の使用停止といった行政処分です。ここでいう記録は、点呼・業務記録・事故の記録を指します。

本記事は、2026年11月時点の国土交通省の条文集(令和8年6月1日更新)と、国土交通省の報道発表にもとづく内容。内容は変わることがあるため、最新の案内は国土交通省や運輸支局でも確かめてください。最後まで読めば、記録の不備で何が起こりうるかと、処分につながる記録の義務が分かります。

もくじ
  1. 01軽貨物の記録の不備に、罰金の定めはない
  2. 02記録の不備で対象になりうるのは、罰金ではなく使用停止といった行政処分
  3. 03罰金ではなく処分につながる記録の義務:点呼は1年、業務記録は1年、事故は3年保存
  4. 04点呼の不備で使用停止が通知された実例:国土交通省が発表した1,862営業所
  5. 05記録の不備を避けるために、記録を残して出せる形にしておく
  6. 06軽貨物の記録の不備は罰金ではなく処分?よくある質問
  7. ✓まとめ

01軽貨物の記録の不備に、罰金の定めはない

貨物自動車運送事業法の罰則の条(第75条)は、十四号まであります。条文集を読んだかぎり、点呼や記録の不備を挙げる号は見当たりません。

順に見ていきましょう。

点呼・業務記録・事故の記録の不備に、罰金の定めはない

点呼をしなかった。記録を書き忘れた。そうした不備だけでは、罰金にはなりません。ただし、罰金がないからといって、何も起きないわけではない。国は、行政処分という別の方法を取れます。処分の中身は、次の章で説明します。

罰金があるのは、安全管理者の選任・届出など限られた場面

安全管理者の選任・届出に関わる罰金は、次の2つ。

  • 安全管理者を選任しない(第75条六号)
  • 安全管理者の選任・解任の届出をしない、または虚偽の届出をする(第75条七号)

金額は、いずれも100万円以下です。ほかにも、事業の届出(黒ナンバーの開業の届出)をしないで事業を行う場合なども、第75条の対象。罰金の対象は、選任・届出だけではありません。くわしくは、安全管理者の罰則の記事にまとめました。

関連記事貨物軽自動車安全管理者の罰則:選任しないと罰金?対象と期限を整理

安全管理者の講習と選任届の手順は、次の記事で確かめられます。

関連記事貨物軽自動車安全管理者の講習:申し込みから修了までの流れ関連記事貨物軽自動車安全管理者の選任届の出し方:書く項目と届出先を整理

02記録の不備で対象になりうるのは、罰金ではなく使用停止といった行政処分

記録や点呼の義務を守らなかったとき、国が取れる手段は、行政処分。

ひとつずつ確かめましょう。

事業者が法律や命令に違反すると、国は使用停止や事業の停止を命じることができる

根拠は、貨物自動車運送事業法の第33条です。事業者が法律や、法律に基づく命令、処分に違反したとき、国土交通大臣は、自動車の使用停止を命じることができます。事業の全部または一部の停止を命じることもできる。期間は、6か月以内で決める決まり。軽貨物にも、第36条第2項で当てはまります。

点呼や記録の義務は、国土交通省の省令(貨物自動車運送事業輸送安全規則)が定めています。省令も命令にあたるため、義務を守っていないと、第33条の処分の対象になりえる。処分を受けると、使用停止の間は、車を事業に使えません。

処分の命令に従わないと、別の罰則の対象になる

使用停止や事業停止の命令に違反したときは、第71条一号が適用されます。記録の不備そのものに罰金はなくても、命令に従わなければ、1年以下の拘禁刑や150万円以下の罰金の対象。拘禁刑は、身体を拘束する刑です。記録の不備と、命令への違反は、別の話です。

点呼・記録ごとの停止の日数は、国の通達と発表に載っていない

行政処分の基準を定めた国の通達は、貨物軽自動車運送事業者にも当てはまる。ただ、違反ごとの日数は、別に定める基準によるとされており、通達の本文には数字がありません。国の発表にも、点呼や記録ごとの日数は載っていませんでした。確かめられた範囲では、日数は分かりません。

処分の具体的な内容は、管轄の運輸支局に確かめてください。

03罰金ではなく処分につながる記録の義務:点呼は1年、業務記録は1年、事故は3年保存

記録は、紙でも、パソコンやスマホでもかまいません。義務と保存期間は、3つに分かれます。

  • 点呼は、業務の前と後に行い、記録を1年保存する
  • 業務記録は、四輪以上の軽自動車を使う事業者が、1年保存する
  • 事故の記録は、3年保存する

順に見ていきます。

点呼は、業務の前と後に行い、記録を1年保存する

点呼は、業務の前と後に行う。アルコール検知器で、酒気帯びの有無を確認する決まり。記録は1年間保存します(輸送安全規則 第7条)。一人で事業をしている場合は、自ら確認する形。検知器や日常点検を自分で確かめ、運行してよいかを自分で決めます。

関連記事軽貨物の点呼は一人でも義務?業務の前後にやることと記録の残し方

業務記録は、四輪以上の軽自動車を使う事業者が、1年保存する

業務記録は、業務を行った運転者ごとに記録します。保存は1年間(同規則 第8条)。対象は、軽貨物のうち、四輪以上の軽自動車で貨物を運ぶ事業者です。

事故の記録は、3年保存する

事故が起きたときは、内容を記録して、3年間保存します(同規則 第9条の2)。点呼や業務記録より、保存が長い点に注意してください。重大な事故は国への報告も必要で、報告は記録とは別の義務です。

関連記事軽貨物の法改正2025:一人でも何が変わったのかを整理

04点呼の不備で使用停止が通知された実例:国土交通省が発表した1,862営業所

実際に使用停止が通知された例を、国土交通省の報道発表(令和8年2月10日)から紹介します。

順に見ていきましょう。

点呼が適切でなかったとして、第33条の自動車の使用停止が通知された

発表の対象は、国が発表した、ある貨物軽自動車運送事業者です。国土交通省の監査で、点呼が適切に行われていない事案が確認され、第33条にもとづく自動車の使用停止が通知されました。通知を受けた営業所は1,862。通知を行った期間は、令和7年(2025年)10月1日から令和8年(2026年)2月10日までです。

発表の時点で、867の営業所は、停止の期間が終わっていた。

発表に載っているのは営業所の数で、台数や日数は載っていない

停止された車の台数も、停止の日数も、発表には書かれていません。実例から言えるのは、点呼が適切でないという理由で、使用停止の処分が実際に通知されている、という点だけ。個人の事業者に同じ処分が出た例は、確認できませんでした。

05記録の不備を避けるために、記録を残して出せる形にしておく

Doreco は、LINEで使える点呼・業務記録のサービスです。記録を残して、あとから出せる形にしておく備えとして、使える機能を紹介する。

順に見ていきましょう。

業務の前後の点呼を、1画面ずつで記録する

朝は、出発前チェックの1画面で、業務前の点呼を記録します。夜は、業務終了の1画面で、業務後の点呼を記録する形。記録が終わると、当日の業務記録がそろいます。

直した履歴が残り、当日の記録は夜に封印される

記録を直すと、直した履歴が残ります。当日の記録は、夜に「封印」される仕組み。

元請や荷主に、期間を選んで監査パックとして出せる

記録は、1日分をPDFで出せる。期間を選んでまとめる「監査パック」もある。元請や荷主に記録を見せる場面で使えます。処分の有無は、記録だけで決まるわけではありません。記録を整えておく助けとして紹介しました。

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06軽貨物の記録の不備は罰金ではなく処分?よくある質問

最後に、よくある疑問に答えます。

順に答えます。

点呼をしなかったら、罰金ではなく何になりますか?

点呼をしなかったことそのものに、罰金の定めはありません。条文集を読んだかぎりの答えです。

点呼は義務なので、怠ると、使用停止といった行政処分の対象になりえます。

記録を書き忘れた日があると、処分されますか?

書き忘れた日があるだけで処分される、とは条文に書かれていません。処分になるかどうかは、国の判断です。

基準の細かい点は確かめられませんでした。気になるときは、運輸支局に確かめてください。

一人で事業をしていても、処分の対象になりますか?

第33条は、届出をした貨物軽自動車運送事業者に向けた条文です。

一人で事業をしている場合も、届出をしていれば、事業者にあたります。ただし、個人の事業者に処分が出た例は、確認できていません。

処分を受けたら、どうなりますか?

使用停止の処分を受けると、期間中は車を事業に使えません。期間は、6か月以内で定められます。

日数は、国の資料から分からなかったため、書けません。処分を受けたときは、運輸支局の案内に従ってください。

まとめ

軽貨物の記録の不備は罰金ではなく、行政処分の対象

  • 点呼・業務記録・事故の記録の不備に、罰金の定めはない。罰金があるのは、安全管理者の選任・届出など限られた場面
  • 記録の不備は、第33条の使用停止や事業停止の対象になりうる。命令に従わないと、別の罰則がある
  • 点呼と業務記録は1年、事故の記録は3年、保存する

軽貨物の記録の不備は、罰金ではなく、使用停止といった行政処分の話です。使用停止の間は、車を事業に使えません。

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